金継ぎで直した器を電子レンジや食洗機に入れるとどうなる?

失敗編

よく注意書きで見かけるのが「金継ぎをした食器は電子レンジや食洗機に入れないでください」や「漆器のように取り扱ってください」と言うものです。

漆器の扱い自体に馴染みが少ないと、ついつい陶器や磁器のように扱ってしまう事もあるのではないでしょうか。

では、気をつけず他の器と同じように使うとどうなるのか。
我が家での失敗をご紹介したいと思います。

5枚組の器の一つを、金継ぎでお直ししました。
錆漆をつけて、形が器に馴染むまで整えて、呂色漆を塗って研いでを繰り返し、綺麗な表面ができたら銀を蒔くために赤漆を塗って、その上を黒で塗って、やっと銀を蒔く。
そして粉固めをして、磨いてやっと

「 完 成! 」

ざっと書きましたが、この完成までに半年くらいかかりました。
(※週末にのんびり少しずつの作業しているので、集中して直すともっと早く仕上がります。)
自分でもいい感じにできたなぁと、完成後はまた日常使いで他の4枚の器と同じように使っていました。

5枚のうち、お直ししている器は1枚。
食器棚の中でも特にお直しした器を分けて置いたりはしてませんでした。

仕上げも粉引に銀仕上げでしたので「金」や「色漆」よりは目立ちにくかったようで、気づかなかった家族の誰かか「食洗機」や「電子レンジ」に入れたりしてしまったようです。

一緒に食事をする時など、気がついた時は「レンジに入れないでー」など未然に防ぐ事ができたのですが食洗機などは結構混ざって入れてしまう事もありました。

滑らかだった部分がだんだん浮いてきて隙間ができ、洗う時にスポンジなどが引っかかったり、徐々に傷みが進んでいきました。

1回や2回ではこんなにはならないのですが、「電子レンジや食洗機には入れないでください」と言われるのはこんな風になってしまうからだと思われます。
(※私がまだまだ下手なせいもあるかもしれません)

実は、もう一つあります。

表の方はあんまり影響がででないのですが、裏は錆が取れてしまっています。
やはり少しでも浮いてきてしまうと、そこからどんどん傷みがひどくなってポロッと取れてしまいました。

頼んでお直ししたものなどは、大切に扱ってくださると思うのですが、金継ぎがどのように修理をして、どんな素材を使っているかを知っていただけると扱うヒントになると思います。

お直しした器に気づかず、他の家族が日々試練を与えてしまうこともあると思いますので、金継ぎの器の取り扱いで気をつけたいポイントをまとめました。

❶金継ぎの器はゴシゴシ擦らない

金継ぎは漆を「塗っては研ぎ、塗っては研ぎを繰り返して直す」と言うことは、お直しした箇所を強く擦ったりを繰り返すことにより少しずつ装飾部分が剥げてしまうと言うことです。
ですので、洗う際のスポンジも柔らかい物を使ってくださいと言うのは、スポンジで研磨している事になるから。
また皿の高台部分などもテーブルで擦れたりを繰り返しているうちに装飾部分が剥げやすくなります。
また、洗って伏せる時もコツンと当ててしまわないように気をつけてください。私はうっかりよくやります。

❷金継ぎの器の置き場所を作る

まずは、他の器と置き場所を変えてみるのがいいと思います。
5枚組など同じ器があるとうっかり間違えてレンジに入れてしまったりしますし、自分で金継ぎを初めて器が増えてくるとどれがお直ししてて、どれが大丈夫だったか第三者には分かりにくかったりしてうっかり気づかずにって事もあるかもしれません。

❸水に長時間つけたままにしない

一見、完全に元通りに見えるかもしれませんが、接着に使っているのは米や小麦粉などと漆を混ぜた糊漆で作られています。
表面は漆と金属などでコーティングのようになってますが、長時間洗い桶など水の中に浸けたままにするのは良くないようです。
実際、接着がずれたりしてやり直す時は、水に浸けて外してやり直しますので、長時間つけるのも傷みを早めてしまいます。

せっかく直したものを「ダメですよ」って言われている電子レンジや食洗機に入れるとどうなるんだろうと思ってらっしゃる方もいるのではと思ったので、この記事にまとめてみました。


うちでは耐久試験だと思ってます。日常使いの器なのでね。外れたらまた直します。
これが自分でできる良さだと思います。

金継ぎが今とても人気なので、お手元にお持ちの方も増えてると思います。
私も金継ぎの工程などを知ることで「なんでダメなのか」がわかってきたりしたので、長く楽しんでいただくために上手に付き合ってみてください。

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